【監修】エステティシャン 丹沢まどかさん のプロフィール
自分で毛を処理している時に「毛抜きで抜いていたらはえてこなくなった」「かみそりしていると毛が濃くなる」など感じたことありませんか?
同じ毛でもワキ毛は長くなるのに、顔の毛は長く伸びません。同じ毛でもなぜ違いがあるのでしょうか。
また「毛が生えてこなくなる」って不思議だと思いませんか?
みんなが気になる「毛の不思議」について今日は仕組みについてお話したいと思います。
目次
毛の仕組み
毛の構造
皮膚の表面にでている毛は正式には「毛幹」といいます。毛穴の中に入っている部分を「毛根」といいます。
毛抜きで抜いたときに毛根のお尻の部分が膨らんでいるのをみたことがあると思いますがその部分は「毛球」、毛球の内側には毛の細胞や毛を成長させる「毛母細胞」「毛乳頭」があります。
毛球部分には毛細血管がのびていて、血液が供給され栄養が与えられることで毛の細胞は細胞分裂を繰り返して、成長をして伸びていくのです。
脱毛の仕組み
表面に出ている毛幹部分をぬいたりそったりしても、毛根部分の細胞が機能していることで毛は生まれ成長を繰り返すことは理解できたと思います。
脱毛をするには、毛母細胞、毛乳頭の機能を停止することが必要になります。レーザーや光脱毛は、毛母細胞、毛乳頭のある毛根部分に光を照射して浸透させていきます。
光は黒に反応して熱にかわる性質があり、まわりの皮膚や毛細血管には無害のまま毛にだけ熱が加わります。熱を加えられた毛根は、卵をゆでてゆで卵にするように、見た目はそのままですが中身の性質が変わることで毛の機能が停止します。
レーザーは毛根を破壊するような強い光をだすことができるため、光よりも強いと言われるのがその理由になるのです。
毛の成長を刺激するもの
①自己処理による刺激
私達のお肌は、転んだり手術などによって、擦り傷、切り傷などができると元の状態に治したり、戻すために血液があつまってきます。
血流がよくなることで毛根にも血液があつまり毛の成長をどんどん早めてしまいます。
通常よりも多くの血液が集まることで毛が濃くなり太くなり成長のスピードも早まるのを感じることでしょう。
同じようにかみそりや毛抜きなど自己処理を繰り返し行うことで毛を刺激していくと、血流がよくなり毛が濃く太くなっていってしまいます。
②ホルモンの刺激
男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌が過剰になることで、毛が太く濃くなることがあります。体をつくる思春期、成長期には脳下垂体の性腺刺激ホルモンの分泌が過剰になり、なかったところから毛をつくりだします。
女性も少なからず男性ホルモンを分泌するため、脇や Vラインが太く濃い毛が生えてきます。
女性の場合、妊娠時とエストロゲンが低下する更年期の時期にも男性ホルモンと似ている働きをする黄体ホルモンの影響により毛が濃くなったり、太くなることがあります。
妊娠時は、妊娠を継続するために黄体ホルモンの影響をうけますが、出産後にもとのホルモンバランスにもどると毛もぬけて細い毛におちついてくるので安心してください。
強いストレスや疲れによっても男性ホルモンが分泌されるため、毛質が太くなったり、濃くなったと感じる方もいらっしゃいます。
毛周期とは?
毛には成長して伸びてきて抜け落ちる生え変わりのサイクルがあり、成長期、退行期、休止期という3サイクルを繰り返しています。
①成長期
お肌の毛穴の中で、発毛因子が発生します。発毛因子は毛の大本になる幹細胞で、毛母細胞が成長をし始めるきっかけになります。
毛母細胞が細胞分裂をするために、毛乳頭が血液から栄養をうけとり、どんどん細胞分裂を繰り返していきます。細胞分裂によって毛が成長して太くなり毛穴の中をのびてきます。
この段階では毛穴の中で成長するため表面にはみえませんが、一定の長さになると毛穴からでてきます。
成長期の毛は、髪の毛で3年~10年ほど成長し続ける長い成長期の毛もありますが、顔の毛のように1ヶ月ほどで成長期が終わる部位もあります。
顔、体の部位によって成長し続ける期間は異なると言われています。
②退行期
毛母細胞で細胞分裂がとまり、毛の成長がおわります。細胞と成長していた毛が離れて、毛を押し出すように毛穴全体も細胞も収縮していきます。
押し出されるように2週間から3週間ほどで毛は表面にでてきてぬけおちていきます。
③休止期
毛が毛穴からぬけおち、細胞は活動を休止し、毛穴自体も収縮していきお休みに入ります。次の毛をつくりだす準備期間といわれており、2,3ヶ月ほどで次の毛が成長をしはじめる部位もありますが、半年から1年ほど休止期の毛もあります。
冒頭の毛抜きぬいた毛がはえてこなくなったと感じるのが休止期です。細胞自体の機能はお休みをしているので、完全にはえてこなくなるわけではありません。
発毛因子が発生し、毛母細胞が細胞分裂をはじめるまでの期間が休止期となります。
表面にでている毛は全体の1/3といわれ、残りの2/3は休止期といわれています。
この一連の毛が流れのことが毛周期といわれ、毛の細胞分裂が続く限り、一生繰り返していきます。
毛の成長
顔、体によって毛周期のサイクルは異なります。
たとえば髪の毛は2年~5年ほど成長期で成長し続け、休止期は3,4ヶ月といわれています。
脱毛に人気の部位がどの程度の成長スピードなのかチェックしてみましょう。
①顔の毛
まつげ、眉毛は成長期、休止期が2、3ヶ月と言われています。ほほや額などの産毛に近い毛は成長期1、2ヶ月、休止期が2ヶ月です。鼻の下やあごは成長期、休止期が2ヶ月です。鼻の下やあごは男性ホルモンの影響をうける部位なので、成長スピードが早く気になるところです。
②ワキ
ワキは成長期が3ヶ月~5ヶ月ほど伸び続けていきます。女性の片脇には800本程度の毛があると言われています。
③Vライン
デリケートゾーン周辺の毛は成長期、休止期とも3,4ヶ月ほどと言われています。
④腕、足
腕はひじ下と肘上でも異なりますが、成長期、休止期が4,5ヶ月と言われています。足の毛は3,4ヶ月ほどです。
理想的な脱毛来店ペース
部位によっても毛周期のサイクルが異なるのはご理解いただけたと思います。成長期の毛を処理することが脱毛をするのに効果的。
しかしいざ脱毛をしようとおもっても、部位によって来店ペースがことなると予定も混乱してしまいますよね。
はじめて脱毛をする方は、まずは2ヶ月に1回ずつ通って行きましょう。成長期の毛は全体の1/3なのでどんなに毛の少ない方でも3回までは2ヶ月に1回で十分に全体の毛を処理することができます。
3回目以降は、施術者と相談しながらペースや回数をきめていくのが確かです。
年齢、毛の濃さ、量、ホルモンバランスによっても個人差がありますので、不安な方はまず3回~6回程度様子をみてみるのがおすすめになります。
まとめ
すこしむずかしい毛の名称もありましたが、毛の仕組み、毛周期はご理解いただけましたか?私たちがきになる毛は目に見えないお肌の内側で成長しています。
毛の仕組みや毛周期のサイクルを理解した上で、毛の処理を行ったり脱毛に通うことで、効果的に処理をすることができます。
毛の専門家である脱毛施術者やエステティシャンに相談することで、どのような自己処理が自分の肌にあっているのか、どの程度施術をうければいいのか、教えてくれるのでわからない方はまずは相談してみましょう。