ピルはホルモンの含有量によって様々な種類があり、ピルの使用目的も異なります。
現在、低用量ピルを服用している方の中でも、避妊目的や月経痛の緩和など個々の理由によって服用されている方もいるでしょう。
今回は、月経困難症や、その治療の1つであるピルについて詳しく解説します。
月経困難症とは、月経に伴って起こる病的状態のことで、下腹部痛や腰痛などのいわゆる「生理痛」に加えて、頭痛や吐き気、嘔吐、下痢、疲労・脱力感、イライラ・憂鬱など個人によって様々な症状があります。これらの症状をピルを使用して減少することも可能です。
「低用量ピルを飲みたいけど、どこで処方してもらうのが良いの?」「どこで処方してもらっても値段は同じ?」と気になる方も多いのではないでしょうか。この記事では低用量ピルを処方してもらえるおすすめクリニックを11選紹介していきます。[…]
月経困難症は治療すべき病気
女性は、初潮から閉経までの約40年間、毎月月経が起こります。生理痛の有無や程度は人それぞれであり、生理痛やそれに伴う症状で日常生活に支障が出る方もたくさんいます。毎月の事だし、生理痛は病気ではないからと我慢していませんか?
痛みの原因によっては我慢する事で症状が悪化することもあります。
月経痛によって日常生活に何らかの支障を来している場合は、月経困難症の可能性がありますので、婦人科に受診してみましょう。
以下に月経困難症の種類について解説します。
機能性月経困難症
機能性月経困難症とは、特定の身体的な病気などが存在しないにもかかわらず、症状が出るタイプの月経困難症です。
機能性月経困難症の痛みは、月経の初日から2日目頃の出血が多い時の痛みが強く、痙攣性、周期性の痛みが特徴です。これは、子宮内膜から分泌されるプロスタグランジンという物質が子宮を過剰に収縮させていることから起こるものです。
初経が来てからまだ間もない頃は、子宮や卵巣も未成熟なため、思春期の女性に比較的多くみられます。
機能性月経困難症は、年齢とともに、または妊娠・出産とともに症状が軽快すると言われていますが、女性のライフスタイルが変化している現代では、妊娠・出産の年齢も高くなっているため我慢せずに症状への対策や治療がのぞまれます。
器質性月経困難症
器質性月経困難症とは、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣嚢腫などの子宮・卵巣の病気が、直接的な原因疾患として存在する月経困難症です。
器質性月経困難症は、30歳以降の女性に多くみられますが、最近では10~20歳代の子宮内膜症も増加しています。
器質性月経困難症は初経後、4~5年経過してから発症することが多く加齢に伴って症状が悪化するのが特徴で、我慢して放置すると不妊の原因になることもあります。また、痛みは月経前から月経後まで続くことが多いです。
原因疾患により多少の症状の差はありますが、共通する症状には、月経痛、過多月経などがより強くみられます。
器質性月経困難症の場合は、原因となる疾患の治療が必要です。気になる症状があれば我慢せずに婦人科に受診し、早期診断・治療がのぞまれます。
月経困難症を放置するとどうなる?
「生理は毎月のことだから」「生理痛は病気じゃないから病院なんて」と毎月来る生理のたびに、日常生活に支障を来すほどの症状を我慢してはいませんか?
生理痛の有無や症状・程度には個人差があります。日常生活に支障を来すほどの苦痛は、単なる生理痛で片づけてはダメです。月経困難症という病気の可能性があり、原因となる病気も隠れているかもしれません。
月経困難症を放置すると、原因となる病気の悪化や不妊の原因になることもあります。
月経困難症の原因となる疾患の1つである子宮内膜症は、不妊の原因や稀に癌化する可能性もあります。生理がつらい方は、我慢せずに婦人科受診をしましょう。
以下では、月経困難症を放置するとどのようなことが起きるのか解説していきます。
子宮内膜症の恐れ!悪化すると手術にも
子宮内膜症が原因疾患にある月経困難症の場合、病状が進行すると手術を要することもあります。子宮内膜症は、薬物治療でコントロールできない場合やチョコレート嚢胞などの病巣がある場合は手術の適応となり、手術にも卵巣を残す保存療法と、子宮・卵巣を摘出する根治手術の2種類があります。
将来、不妊の恐れも
月経困難症の原因疾患の1つでもある子宮内膜症を放置していると、子宮内膜が卵巣や腹膜などで増殖や剥離を繰り返すことにより、炎症や痛みにつながります。腹腔内の炎症が子宮や卵巣・卵管などの癒着を起こします。これらの癒着により卵管の通過障害が起こり、不妊の原因になります。
月経困難症の治療薬「ピル」
月経困難症の治療薬には、NSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛薬)、ピル(LEP:低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)、漢方薬・鎮痙薬、レボノルゲストレル放出子宮内システム(ミレーナ)があります。
最近では、低用量ピルが月経困難症の治療薬として様々な効果をもたらすと周知され、使用されている傾向にあります。
そこで、ピルについて詳しく説明します。
ピルの効果
月経困難症に対する治療薬として、低用量ピルを服用することで、生理痛・生理不順の改善、過多月経・貧血の改善、卵巣がんや子宮体がんのリスクの軽減、避妊や女性の身体の負担を減らすなど様々な効果がみられます。
ピルの飲み方
低用量ピルの飲み方は、1日1錠決まった時間に内服します。飲み忘れを防止するためにも、ご自分の生活リズムに合った時間に設定することをおすすめします。
原則として生理初日から内服を開始し、21日間継続します。21日分飲み終わったら7日間休薬します。7日間の休薬後、前回と同様に服用と休薬を繰り返していきます。
ピルの種類や生理周期によっても飲み方が異なりますので、医師と相談した上で最適なピルを選んでもらいましょう。
ピルの種類
第一世代 (ノルエチステロン) | 第二世代 (レボノルゲストレル) | 第三世代 (デソゲストレル) | 第四世代 (ドロスピレノン) | |
---|---|---|---|---|
OC (低用量経口避妊薬) | シンフェーズ | トリキュラー アンジュ ラベルフィーユ | マーベロン ファボワール | ー |
LEP (低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬) | ルナベルULD フリウェルULD ルナベルLD フリウェルLD | ジェミーナ | ー | ヤーズ ヤーズフレックス ドロエチ |
第一世代の特徴
- 経血の減少
- 生理痛の緩和
第二世代の特徴
- 月経移動・生理周期のコントロールに適している
- 不正出血しにくい
第三世代の特徴
- 肌荒れ改善やニキビ・体毛の増加などを防ぎやすい
第四世代の特徴
- 他の世代よりホルモン含有量が少ない
- 副作用が出にくい
OC(Oral Contraceptives)とは、低用量経口避妊薬のことで、保険適用外です。避妊効果以外にも生理痛の軽減や、月経移動、PMSの緩和やニキビなどの肌トラブルの改善、卵巣がんや子宮体がんなどのリスク低下なども期待できます。
LEP(Low dose Estrogen Progestin)とは、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬のことでOCと同様の成分ですが、月経困難症や子宮内膜症などの治療目的として使用する場合は、保険適用となります。
生理の痛みは我慢せずに病院へ
「毎月の生理がつらくて憂鬱」「生理痛があるのは当たり前」などと我慢してはいませんか?生理痛がひどく、日常生活に支障を来すほどの症状を我慢していると、月経困難症だけではなく、重大な病気が隠れている可能性もあります。
月経困難症の原因が子宮内膜症などの病気の場合、病状も悪化し、不妊の原因になることもあります。
毎月の月経のたびに、つらい生理痛や様々な苦痛症状、それに伴う不安定な精神状態により、いろんな事を諦めている女性もいるでしょう。我慢がいい事ではありません。日常生活を快適に過ごせるためにも、生理に関して痛みやつらい症状がある方は、婦人科を受診してみましょう。
また、「ピル」というと一般的に「避妊薬」というイメージが多いようですが、月経困難症の治療薬の1つとしては「低用量ピル」を用いる事が有効だとされています。
月経困難症の治療薬のピルにはOC(低用量経口避妊薬)とLEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)があり、LEPは月経困難症と診断されて治療薬として処方される場合、保険適用にもなります。
「ピルはよくわからないから怖い」という声をよく耳にします。月経困難症の治療薬である低用量ピルは、副作用もありますが種類もあり、ご自分に合ったピルを服用することで日常生活にもいろんなメリットがあります。
低用量ピルの効果には、避妊効果、生理痛・PMSの改善、月経移動、ニキビなどの肌トラブルの改善、子宮内膜症などの病気の進行を抑制し、婦人科疾患のリスク低減にもつながります。
ピルは怖い薬ではなく、女性が快適に日常生活を送ることができるための治療薬です。生理がつらく、月経困難症の可能性がある方は、まずは婦人科に受診し医師と相談の上、自分に合ったピルの服用をおすすめします。
月経困難症の治療薬「ピル」に関するよくある質問(QA)
生理がある、生理痛がつらい、生理に伴う症状があってつらい方は誰でも、医師の診察を受ければ処方してもらえます。人によって程度や感じ方はそれぞれですから、ご自身がつらいと思われる方は遠慮せずに医師の診察を受け、ピルを処方してもらいましょう。
ただし、35歳以上で1日15本以上の喫煙者は服用禁忌になっており、処方できません。また、既往歴や現在罹患中の持病をお持ちの方も場合によっては処方できない場合があります。
飲み忘れに気がついた時点で(24時間以内)すぐに前日分の1錠を服用してください。
その後、いつもの時間に当日分を服用します。いつもの時間に前日分の飲み忘れに気がついた場合は、2錠まとめて服用してください。1日以上の飲み忘れの場合も、気がついた時点で1錠服用し、いつもの時間に1錠服用します。1日最大2錠を超えての服用はできません。
低用量ピルを飲み忘れなく正しく服用している場合、他の避妊方法と比べると99.7%と高い避妊率ですが、100%ではないため絶対妊娠しないとは限りません。飲み忘れがあったりすると避妊率も下がります。また、低用量ピルでは性感染症を防ぐことはできません。
これらのことからも、妊娠を望まないのであれば、低用量ピルだけでなく、コンドームなどの他の避妊方法の併用をおすすめします。
まとめ
月経困難症は、生理がある全ての女性が対象になり得るものです。症状や程度は多岐にわたり、感じ方も人それぞれです。「生理痛がつらいなんて普通のことだし」「生理が来るのが憂鬱」と日常生活を快適に過ごすのを諦めるのはよくありません。
その我慢が、重大な病気のサインを見逃している可能性もあります。
現代の女性は昔と比較すると、平均寿命が伸び、初経も早くなり、一生における月経回数や期間も増えています。女性特有の月経期間が、苦痛なく、快適に過ごせるように婦人科を受診することからはじめてみましょう。