ピル(低用量ピル)の副作用が怖い?具体的な症状や対処法を解説!

低用量ピルには避妊以外にも月経痛などのつらい症状を改善してくれるメリットがたくさんありますが、ピルの副作用が怖くて心配の声も聞きます。

ここでは、安全・安心で使えるように低用量ピルの副作用と具体的な症状に応じた対処法を詳しく解説します。

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低用量ピルおすすめ11選

低用量ピルとは?

低用量ピルとは、成分の卵胞ホルモン量を少なくし、重篤な副作用のリスクを減らしたお薬です。

避妊、月経困難症・子宮内膜症などの治療に使われます。月経中の強い下腹部痛や腰痛、頭痛、腹痛や下痢・、食欲不振や疲れ、イライラや憂うつなどの辛い症状に効果があり、女性の日常生活を助けてくれます。

低用量ピルの副作用

低用量ピルの主な副作用
  • 吐き気・嘔吐
  • 頭痛
  • 不正出血(20%)
  • 乳房の張り・痛み
  • 下腹部の痛み
  • むくみ
  • 血栓症

低用量ピルの副作用には、服用初期1〜2ヶ月くらいの間に、吐き気や嘔吐頭痛、不正出血、乳房の張りや痛み下腹部の痛みなどが出ることがあります。このような症状は、飲み続けていれば多くの人は収まると言われています。

不正出血も服用を続けていると徐々に減少することが多いですが、3周期は様子を見ます。ただし長期間続く時は、悪性疾患の可能性もあるため、病院に受診しましょう。

そのほかに重篤な副作用として知られているのが血栓症です。血栓症には下肢や肺の静脈血栓塞栓症や、脳梗塞、心筋梗塞などがあります。血栓症発症の確率は非服用者が1万人に1〜5人に対してピル服用者は3〜9人とやや上昇します。参考に、妊婦の発症確率を見ると1万人に対し29人まで上昇するので、ピル服用は妊娠出産よりも安全です。

低用量ピルを服用すると血栓症のリスクが上昇する理由は、低用量ピルに含まれている卵胞ホルモン・エストロゲンの作用で血液が凝固しやすい状態になるためです。血栓症が発症しても適切な治療を行えばほとんどの場合は治りますが、稀に致命的な状況になるため服用開始から服用中は継続して血栓症の予防と症状出現に注意が必要です。

低用量ピルを服用することで様々なメリットがあります。ピルを安全に服用するためにも、血栓症のリスクを理解し、気になる症状があればすぐに受診すること、また定期的に病院に受診しましょう。

低用量ピルを服用すると子宮体癌や卵巣癌、大腸癌発症のリスクが減少するという良い面もありますが、乳癌発症、また長期服用では子宮頸癌発症のリスクがやや上がることがわかっています。そのため定期的ながん検診を受けることで早期発見につながるので安心です。

低用量ピルの副作用が出た時の対処法

血栓症の症状
  • 激しい腹痛
  • 激しい胸痛、息苦しさ、押し潰されるような痛み
  • 激しい頭痛
  • 脳梗塞症状(視野障害、ろれつが回らない、失神、意識障害)
  • ふくらはぎの痛み、むくみ、圧痛、赤い、熱感がある、立位、歩行時の下肢痛み

低用量ピルの副作用が出た時の対処法としては、服用初期の軽い症状が出た時は、様子を見ます。ただし、症状が辛いときは医師に相談しましょう。嘔吐が続く場合もやはり、ピルの効果が弱まりますので医師に相談しましょう。

また、低用量ピルの重篤な副作用である血栓症の症状を自覚した場合の対処法は、できるだけ早く病院に受診します。ピルを処方してもらった医師以外の診察を受ける場合は、必ずピル服用者携帯カードを持参し、ピルを服用中であることを事前に伝えてください。

血栓症の症状は、血栓がどこにできたかによって違います。血栓症の症状として、下記ACHESの症状が現れたときは、ピルを処方してもらった医師または病院を受診しましょう。

低用量ピルをおすすめする人

避妊したい人

避妊法理想的な使用による避妊失敗率(%)
ピル0.3
コンドーム2
殺精子剤18
ペッサリー6
薬物添加IUD0.1〜0.6
リズム法1〜9
女性避妊手術0.5
男性避妊手術0.1
避妊なし
85

低用量ピルをおすすめする人第1は避妊したい人です。おすすめする理由は、他の避妊法と比べて避妊効果が高いからです。中用量ピルの避妊率は100%ですが、副作用を考えると低用量ピルの方が安全です。そして低用量ピルでも避妊率99.7%と避妊成功率が高いです。

低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン第2版では避妊法による避妊率が上記の表のようになっています。

各避妊法の中で、最も効果の高い避妊法は男性避妊手術ですが侵襲性が高く簡単にできるものではありません。そしてピルは男性避妊手術とほぼ同じくらいの避妊率を誇りながらも女性が主体で行える比較的簡単で安全な避妊方法です。飲み忘れなどで正しく服用できていなければさらに避妊率は下がっていきますので、しっかり服用を継続することが大切です。

機能性月経困難症

月経直前または月経中に起こる辛い下腹部痛や腰痛腹部膨満感吐き気や嘔吐頭痛疲労感・脱力感食欲不振イライラ憂鬱などの症状が出ますが、低用量ピルの服用を続けることで症状を軽減することができます。

子宮内膜症

子宮内膜症性の痛みには、月経困難症月経以外の下腹部痛や腰痛性交時痛排便痛などのつらい症状があります。低用量ピルを服用することで、これらの痛みを軽減、改善します。

また、低用量ピルの周期的服用で効果が得られなかった場合でも、長期間連続投与で効果を得られる可能性があります。

月経過多

過多月経とは、経血量が異常に多く、140ml以上ある場合を言います。

経血が多量にあると貧血により辛い症状を引き起こします。

低用量ピルを継続して服用することで月経血量が減少するため、日常生活を健やかに過ごしやすくなります。

卵巣子宮内膜症性嚢胞の人または術後の人

子宮内膜症の中でも卵巣子宮内膜症性嚢胞がある人が低用量ピルの服用により、排卵の抑制、卵巣嚢胞内への出血が抑制されるために嚢胞が縮小することが期待できます。

また、卵巣子宮内膜症性嚢胞の手術後、低用量ピルを継続して服用することで再発率が無治療の場合の34%から8%ほどに減少し、再発リスクを大きく減らすことができますのでおすすめです。

ニキビを治したい人

特に女性にとってニキビは悩みの種だという人は少なくありません。皮膚科で一般的治療を受けても改善しなくて困っているという方に低用量ピル服用がおすすめです。低用量ピル服用により改善する効果があることがわかっていて、実際治療を受けている人も増加しています。

ただし、低用量ピルのニキビへの処方は保険適用外の治療になるので、かかる費用は病院により異なります。また、副作用もあることから医師と十分相談の上治療を受けるか検討しましょう。

低用量ピルをおすすめしない人(禁忌)

重篤な副作用出現の危険がある人持病が悪化する可能性がある人
ピルの成分に対し過敏性がある人乳癌、子宮体癌、子宮筋腫で自覚症状あり要治療の人
35歳以上で1日15本以上の喫煙者診断未確定の異常性器出血のある人
前兆(閃輝暗点、星型閃光など)を伴う片頭痛のある人血栓性静脈炎、肺塞栓症、脳血管障害、冠動脈疾患またはその既往歴のある人
肺高血圧症または心房細動を合併する新弁膜症、亜急性細菌性心内膜炎のある心臓弁膜症の人重篤な肝障害のある人
糖尿病腎症、糖尿病性網膜症などの血管病変を持っている糖尿病患者肝腫瘍のある人
血栓症素因のある女性耳硬化症の人
抗リン脂質抗体症候群妊娠中に黄疸、持続性掻痒症または妊娠ヘルペスの既往歴のある女性
手術前4週以内、術後2週以内、産後4週以内、長期安静状態の人妊娠中または妊娠している可能性のある人(安全性が確立されていない)
脂質代謝異常のある人(持病悪化も)授乳婦
高血圧症の人
(軽度高血圧症以外で持病悪化も)
思春期前の女性(骨端の早期閉鎖の危険)

低用量ピルは安全性の高い薬ですが、上記症状のある人には持病を悪化させたり、重大な副作用を起こしやすいです。低用量ピル服用のガイドラインで禁忌のため服用できません。

低用量ピルをおすすめできない人
  • 40歳以上の女性
  • 乳癌の家族歴または乳房結節のある人
  • 喫煙者
  • 肥満の人
  • 糖尿病および耐糖能異常の人
  • 肝障害のある人
  • てんかんの人
  • 血栓症の家族歴がある人
  • 前兆を伴わない片頭痛を持つ人
  • 心臓弁膜症の人
  • 軽度の高血圧、妊娠高血圧の既往のある人
  • ポルフィリン症の人
  • 心疾患、腎疾患またはその既往歴のある人
  • テタニー症の人

他にも低用量ピル服用には慎重な判断が必要なためおすすめできない人もいます。

上記に当てはまる人は、医師と十分にご相談ください。

低用量ピルの副作用に関するよく聞かれるQ&A6選

低用量ピル副作用に関するQ&A

低用量ピルの副作用はひどいですか?

大部分は軽度で稀に重篤な血栓症が現れることがあります。

低用量ピルの副作用は、服用開始1~3ヶ月の初期に吐き気や頭痛、不正出血など軽度の症状が現れることがあります。その場合、時間経過とともに自然に症状が改善していきます。

血栓症の症状が出た場合、血管が詰まる場所によってはエコノミー症候群(肺塞栓症)、脳梗塞、心筋梗塞など命に関わるひどい状態になることもありますので、症状が現れた場合はすぐに医療機関に受診することが大切です。

低用量ピルのデメリットは?

軽〜重度の副作用を起こす可能性があることです。
低用量ピルのデメリットは、服用始めに出現しやすい吐き気や頭痛、不正出血などの副作用、稀に重篤な副作用である血栓症や脳卒中、乳癌、子宮頸癌のリスクがやや上昇すること、ホルモン依存性の副作用が出る可能性があることが挙げられます。ただし、重篤な副作用が発症する可能性はごく稀です。このようなデメリットもありますが、低用量ピルを服用して得られるメリットも多いです。

低用量ピル副作用 血栓に関するQ&A

ピルで血栓が起こりやすいのは何時ごろですか?

低用量ピル服用開始後3ヶ月、4週間以上の休薬期間後に再度服用開始後3ヶ月以内です。
ピルの服用を初めて3ヶ月以内の血栓症発症の確率は、年間1万人に対して14.3人、その後2年目で7.3人、3年目で6.3人、4〜5年目以降では4.5人に減少します。また、ピル服用を中断して3ヶ月以内に非服用者の確率に戻ります。

ピルによる血栓症はどんな感じ?

血栓症が生じる体の部位によって様々な症状がでます。

ピルによる血栓症の症状の多くは、最初ふくらはぎにある深部静脈に血栓ができやすいです。その場合の症状は、片方のふくらはぎの痛み、圧痛、赤く腫れたりすることから始まります。その場合はピル服用者携帯カードを持参し病院に受診しましょう。

また、さらに肺に血栓が詰まった場合は肺塞栓症になり、激しい胸痛、息苦しさ、押し潰されるような痛みといった症状が出ることがあります。

そして、心臓に血栓ができれば心筋梗塞を引き起こします。その場合の症状は、強い胸の痛み、吐き気、息苦しさ、冷や汗などの症状が出ることがあります。

血栓が脳で詰まれば脳梗塞になり、突然視野障害、マヒ、呂律が回らないなど会話がしにくい、失神などの意識障害などの症状が出現します。これらの場合は、すぐに救急車を呼びましょう。大部分は早めに治療すれば治りますので早めの受診が大切です。

低用量ピル副作用 太るに関するQ&A

ピルを飲んでいると痩せづらいですか?

痩せづらくなることはありません。
低用量ピルを飲んでいると痩せづらいことはありません。ただし、服用開始後数ヶ月はむくみを感じる人もいますのでそのため一時的に体重が増えることはあっても、むくみはなくなります。

ピルで太る原因はなんですか?

低用量ピル服用で太ることはありません。
低用量ピルと太ること=体重増加の因果関係は研究において否定されています。