ピルを服用する際に気になることの一つに、副作用があります。ピルの副作用にはさまざまな症状が挙げられますが、そのなかでも、「なんだか気分が沈む気がする…もしかして副作用に『うつ』の症状がある?」とうつの症状に悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
ピルの副作用には個人差があり、人によってはうつのような症状が出る可能性もゼロではありません。より安心感を持ってピルを服用するには、「ピルの副作用にうつはあるのか」という点について、十分に理解を深めることが大事です。
そこで今回は、ピルの副作用でうつになることがあるのか解説しつつ、症状が出たときの対策、その他よく見られるピルの副作用についてまとめていきたいと思います。
ピルで“うつ”になりやすくなるって本当!?
ピルの副作用のなかでも、気になる症状の一つに、「うつ」っぽさが感じられる症状があります。
結論からいうと、以下のように「うつ」のような症状が出る人もいます。
- 気持ちが落ち込む日が多い
- 何事にもやる気が出ない
- 一日中寝ている日がある
- ネガティブ思考になる
たとえば上記のような症状を自覚したときは、「もしかしてピルの副作用にうつの症状がある?」と不安を抱いてしまうものです。
うつの症状があると、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。気持ちが落ち込めばストレスもたまり、さらに悪循環に入ってしまうことも多いです。
ピルの副作用には個人差があり、症状の種類・程度は人によって違います。そのため必ずしもうつの症状が副作用として出るとは限りませんが、ピルは医薬品のため、服用する際には十分に副作用について理解を深めておく必要があります。
ピルを飲んだ結果「副作用でうつっぽくなったかもしれない」と不安に感じている方や、ピルをこれから飲むにあたってうつの症状が副作用として出ると聞いて悩んでいる方は、ぜひピルの副作用についての知識を充実させていきましょう。
ホルモン系避妊薬でリスクが上がる?
まず、日本国内での見解では、ピルの副作用とうつの症状には因果関係はありません。
一方でデンマークの研究者の発表によれば、ホルモン系避妊薬は、うつ病発症のリスクを一定割合で高める可能性があるとしています。
その発症確率が上がる程度は40%ほどのため、この見解が正しければ、ピルを服用するにあたってうつ病発症のリスクに十分に注意しなければなりません。
ピルを飲んでいる方とそうでない方でうつ病発症確率に40%も違いがあるのであれば、ピルの副作用は注意すべきものと言わざるを得ません。
しかしながら、日本産科婦人科学女性ヘルスケア委員会では、前述の研究に対して異なる見解を示しています。
同委員会の見解によれば、前述の研究はピルに当てはまる研究結果とはいえないため、ピルとうつの副作用については因果関係がはっきりしていないのが実情になります。
したがって、「ピル=うつになりやすい」と決定づけることはできないといえることがわかります。
確かに「ピルの副作用にうつの症状がある」 という噂があるのも事実のため不安に感じられる方は多いですが、実際に国内で専門家が研究した結果注意喚起がなされているわけではないため、現段階では心配する必要はないと考えられるでしょう。
ピル服用でコルチゾール(ストレスホルモン)が上昇しやすい
ピル服用による副作用とうつの症状には、現段階では因果関係はありません。
しかしピルを服用すると、コルチゾールというストレスホルモンが上昇しやすくなるという見方はあります。
海外の研究によると、ピルを日常生活のなかで服用している女性は、慢性的にコルチゾールの分泌量が高くなっているとされているのです。
したがってこの研究・報告によれば、ピル服用とコルチゾール値の高まりには、関係があると解釈されています。
コルチゾールはストレスから自分自身を保護するために、主に分泌されるホルモンの一種です。
専門家の見解では、このコルチゾールの分泌過多の状態が長期的に続くと、脳の海馬を委縮させてしまう原因になるともされています。
さらにいうと、うつ病を患っている方の多くはコルチゾール値が通常よりも高く、多くのストレスに悩まされていることがわかります。
とはいえピル服用がコルチゾールの値を上昇させ、最終的にうつ病発症の確率を高めると決定づけることはできません。
前述の海外の研究によれば、うつ病発症の確率にはピル服用だけでなく、個々の生活環境や遺伝なども関係してくるとしています。
そのためやはり、コルチゾールが多く分泌される可能性があるからといって、ピル=うつ病発症のリスクありとは判断できないという結論になります。
低用量ピルは“うつ”改善にも使用される
そもそもピルは、うつの症状改善のための治療薬としても使用されることがあります。
うつの改善効果に期待できるのは、ピルのなかでも低用量ピルにあたります。低用量ピルの特徴を簡単にチェックしてみましょう。
- 排卵抑制・子宮内膜の増殖を防止・女性ホルモンを調節などの効果がある
- 月経困難症や月経前症候群(PMS)の治療薬としても使用される
- うつの症状改善効果にも期待できる
PMSの症状に悩んでいる方のなかでも、精神的な落ち込みがひどいと、場合によっては月経前不快気分障害(PMDD)という症状で診断を受けることがあります。そこで処方されるのが低用量ピルです。
PMSや月経困難症の症状は人によって異なりますが、うつのような症状が感じられるときは、対処法として低用量ピルの服用について医師に相談することが重要になります。
生理中や生理前はホルモンバランスの乱れにより、女性は意外と多くの方が、気分の落ち込みや無気力などの症状を経験するものです。
ピル服用による副作用としてうつの症状は確かに気になりますが、ピルはそもそも、うつ改善につながる薬でもあることを理解しておきましょう。
ピル服用3ヶ月頃まで“うつ”のような症状が見られることも
人によっては、ピル服用を始めた3ヶ月頃までは、うつのような症状が見られる場合があります。
「いつもと違って気持ちが落ち着かない」「前よりも落ち込みやすくなった気がする」などの症状が当てはまるでしょう。
しかしこれらの症状はホルモンバランスの変化がきっかけとなって起こるものであり、3ヶ月ほどピル服用を続ければ、症状は改善に向かうとされています。
ピルによるうつ・情緒不安症状の対策法
ピル服用によって気分の落ち込みなどうつのような症状が出たときは、まずいったん様子を見ましょう。
前述のとおりピル服用から3ヶ月経過するまでは、ホルモンバランスの変化によって、うつのような症状が出ることがあります。
そのため対処法として意識すべきポイントをまとめると、以下のとおりになります。
- 症状が重い状態でなければ3ヶ月様子を見る
- 症状が重い・3ヶ月以上続く場合はすみやかに医師に相談
基本的にはしばらく様子を見るかたちで問題ありませんが、とはいえあまりにもうつの症状がひどいときは、話は別です。
3ヶ月を超えてもさらに症状が長続きするとき、またはうつの症状が重くて日常生活に支障が出るときは、早めに医師への相談しましょう。
なお、気分の落ち込みが原因で外出することすら億劫に感じられるときは、自宅で受診が可能なオンラインクリニックで相談するのもおすすめです。
ピル副作用としてのうつ・情緒不安定症状に関するよくあるQ&A
ピルの副作用により、身に起きた事と関係なく気分が落ち込みやすくなったり、イライラしたり、不安になったりするうつ症状がでることがあります。ただし一時的な副作用であることが多いので1~3ヶ月で落ち着くことが多いです。
ピルの飲み始めに一時的にホルモンバランスが変わります。それにより、イライラや気分の落ち込み、不安などの気分の変化がメンタル不調として起こる可能性があります。メンタル不調は徐々に落ち着いてくるものなので、基本的には様子をみながら継続します。
月経前症候群(PMS)の治療には低用量ピルが用いられます。低用量ピルは女性ホルモンのバランスを整えてくれます。PMSが原因の情緒不安やイライラ、不安感などは、ピルを使えばホルモンの急激な変化がなくなるので症状の緩和が期待できます。
もし副作用が重いときやつらいときは我慢せずに医師に相談しましょう。
3ヶ月ほどで緩和されることが多いです。むしろ、PMSの精神的な不安がピルの服用により押さえられることもあります。
PMSの症状の一つが「精神の不安定」です。PMSの原因は詳しくわかっていませんが、低用量ピルを服用するとホルモンバランスが整うので精神が不安定になる症状の改善効果も期待できます。