インプラントの骨造成とは?現役歯科院長が徹底解説!

インプラント 骨造成(サイナスリフト、GBRなど)

インプラントの骨造成とは?現役歯科院長が徹底解説!

インプラント治療を受けたくても、「顎の骨が少ない」などの理由から治療を断られる場合があります。

そのような問題を解決する手段として、手術にて顎の骨を増やす「骨造成」があります。

今回はそんな骨造成の概要や、骨造成を行うことのメリットとデメリット、骨造成手術の流れなどについてご紹介します。

インプラント治療を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

インプラントの骨造成とは

インプラントの骨造成とは

骨造成とは、骨を増やす手術の総称です。

インプラントの手術は、顎の骨にインプラント体を直接埋め込むという流れで行うため、十分な骨の高さや厚みを必要とします。

しかし、歯周病や加齢によって顎の骨が不足している場合、手術をした際に、インプラント体が骨から突き抜けたり、歯肉から露出したりするといった危険に繋がります。

このようなリスクを回避するために行うのが骨造成手術です。

骨造成手術は、骨の量や厚みを増やすことができるため、インプラントを埋め込んだときに起こりがちなトラブルを未然に防ぎ、安全にインプラント手術が行える手段として期待されています。

現在、主流となっている骨造成手術には、3つの方法があります。

まず1つ目は、「GBR法(骨誘導再生法)」と呼ばれる手術方法です。

GBR法は、骨が不足している部分に自家骨(自分の骨)や骨補填材(人工的な材料)を充填し、メンブレンという人工膜で覆うと、数ヵ月間の治癒期間を経て骨が再生していく方法です。

この「GB法」を行うことで、かつては「骨が足りなくて治療が難しい」といわれた場合でも、現在なら骨造成手術にてインプラントの手術にも耐えられる骨の土台作りが可能となります。

2つ目は、「ソケットリフト」です。

ソケットリフトは、上顎の骨の高さが足りない場合に行う骨造成手術ですが、原則として、骨の高さが6ミリメートル以上のケースで適用されます。

インプラントを埋入する部分の上顎洞の手前に専用ドリルで穴を開け、上顎洞の底部分を押し上げる方法です。

ソケットリフトは、インプラント埋入部分の上方に穴を開けるため、傷口が小さくてすむというメリットがあります。

3つ目は、「サイナスリフト」です。

サイナスリフトは、ソケットリフトと同じく上顎の骨の高さが足りない場合に適用されますが、上顎の骨の高さが5ミリメートル以下の場合に用いる骨造成手術です。

頬側の歯肉を切開して骨を採取し、骨と粘膜を剥がしたスペースに骨補填材などを充填します。

その後、採取した骨を戻し、歯肉を元の位置に戻して縫い合わせる方法です。

これらの骨造成手術がインプラント治療において認知されるようになったことで、これまで顎の骨が少ないためにインプラント治療を諦めていた患者さんも選択できる治療の幅が広がりました。

骨造成のメリットとデメリット

骨造成のメリットとデメリット

さて、骨を増やすことができる「骨造成」ですがメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょう。

実際に骨造成手術を受ける方向になった際、「骨造成手術をして後悔した」とならないためにも、骨造成手術のポイントをおさえておきましょう。

骨造成のメリット

骨造成のメリットでは、主に3つが挙げられます。

1つ目は、「治療に十分な骨の量が得られること」です。

本来では足りなかった骨の量が、骨造成手術をすることによって十分に獲得でき、インプラントを埋入した際に骨から突き抜けたり、歯肉から露出したりなどというトラブルを未然に防ぐことができます。

2つ目は、「長期的な安定が期待できること」です。

骨造成手術をして十分な骨の量を確保することは、結果として、インプラントを埋入した後も骨の不安定さから抜け落ちるなどの心配が少なく、定期的なメンテナンスを続ければ長期間にわたり、安心して使用できるようになります。

3つ目は、「歯ぐきの見た目が改善されること」です。

顎の骨が痩せてくると歯ぐきが下がり、周りの歯や歯ぐきとのバランスが悪くなることがあります。

しかし、骨造成手術によって十分な骨が獲得できると、歯と歯ぐきのバランスが安定し、見た目の美しさを取り戻せるようになります。

骨造成のデメリット

次に、骨造成のデメリットは主に2つが挙げられます。

1つ目は、「治療期間が長くなること」です。

骨造成は外科手術の分類になることに加え、自家骨や骨補填材が骨として再生するまで数ヵ月間の期間を要します。

そのため、予定していた治療期間よりも延長になることが多く、急いで治療を終えたい場合や、治療に充てられる期間が限られている場合などには、骨造成手術は現実的な治療方法ではありません。

2つ目は、「骨造成が適用できない患者さんもいること」です。

全身疾患などを抱えていたり、愛煙家の患者さんの場合は、骨造成手術をした後の治癒が不十分となる恐れがあります。

その場合は治療法の提案として、インプラントではなく、入れ歯やブリッジを用いた治療をご案内し、噛み合わせの獲得を目指すのがトラブル回避にも繋がります。

骨造成の流れ

骨造成の流れ

1.自家骨の採取

自分の骨を使用するGBR法を希望する際は、まず自家骨の採取が必要です。

下顎の一部から採取するのが主で、隙間なく充填するために細かく砕いておきます。

2.インプラントの埋入

歯肉の一部を切開し、顎の骨に専用ドリルで穴を開け、インプラントを埋め込みます。

この時点で骨の高さが足りない場合は、インプラントを埋入する前に自家骨や骨補填材の充填が必要となります。

3.自家骨や骨補填材を充填する

骨が不足している部分に、事前に採取しておいた自家骨や骨補填材を充填し、人工膜のメンブレンで覆います。

メンブレンは歯肉が侵入してくる力を防ぐ効果もあるため、骨が早めに再生することも期待できます。

4.骨が再生し治癒するのを待つ

骨の充填とメンブレンを取り付けた後は、歯肉を元に縫い合わせ、骨の再生を待ちます。

骨が再生するまでの期間は個人差があるため、期間中は術部に傷をつけたり刺激を与えたりしないように注意することが必要です。

5.人工歯を設置する

骨の再生、治癒期間を経て、インプラントと骨の結合を確認することができたら、インプラントの人工歯をセットします。

人工歯をセットした後は、微調整を行い違和感がなければ治療完了となります。

その後は、歯みがきなどのセルフケアと、歯科医院での定期的なメインテナンスでインプラント周囲炎の予防と清潔な口腔内環境の維持をしましょう。

骨造成の費用

骨造成の費用

骨造成の費用相場は、それぞれ以下のようになります。

GBR法1歯あたり6万円(税込)〜
サイナスリフト5~35万円(税込)
ソケットリフト1歯あたり3~5万円(税込)

ただし、治療費や治療期間は、口腔内環境や身体の状態によっても大きく異なるため、担当歯科医師とよく相談をしてトラブルのない治療選択をすることが望ましいでしょう。

骨造成のまとめ

今回は、骨造成についてメリットやデメリットを混じえながらご紹介しました。

これまで骨が足りないことで諦めていた治療も、骨造成を行うことで、選択できる治療の幅が広がり、患者さんが納得のいく歯科治療ができるようになりました。

骨造成は手術の分類となるため、治療期間や治療費用はかかりますが、リスクのある状態でインプラントを行うよりも、骨造成をすることで長期的な安定を得られるため、とても有効な治療方法と言えます。

今回ご紹介した骨造成のメリットやデメリットを踏まえつつ、患者さんには後悔のない治療を選択していただきたいと思います。

骨造成を検討されている方は、まずは歯科クリニックのカウンセリングを予約し、相談してみましょう。

WITH DENTAL CLINICでは各種カウンセリングはすべて無料ですので、安心してご相談いただけます。

お電話、予約フォームで受け付けております。知識豊富な専門のスタッフが親切に丁寧にお答えしますのでお気軽にご利用ください。

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